フィナステリドの効果がない理由|1年効果がない場合は中止すべき
1. フィナステリドの「薬理作用」から考えられる理由
男性型脱毛症(AGA)は男性ホルモン(テストステロン)が5αリダクターゼという酵素により「悪玉男性ホルモン」(DHT:ジヒドロテストステロン)となって、毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体を攻撃し、脱毛を促す因子を増やして、毛母細胞の分裂を抑えるので、成長期が短縮されて抜け毛が増えしまうので、薄毛が進行してしまうのです。
AGA治療薬のフィナステリドは5αリダクターゼの働きを阻害するので、DHTが減少し、男性ホルモン受容体への攻撃をブロックすることになるので、効果があれば(当院では70%前後)、正常の毛周期となるので、発毛した毛が抜けずに太く長い毛として生えてきます。
従って、フィナステリドを服用してDHTを減少させても効果が出ない理由は、
性ホルモンがDHTへ変換される数が多くなるので、男性ホルモン受容体への攻撃が高頻度なり、フィナステリドでは脱毛を止めきれなくなる。
(検査)テストステロン/DHT比を測定する
男性ホルモン受容体にDHTが多く結合ればするほど、脱毛を促す因子を増えるので、抜け毛が増えてしまうので、フィナステリドでは脱毛を止めきれなくなる。
(検査)男性ホルモン受容体遺伝子のCAGリピート数を測定する
①にしても②にしても、「遺伝的素因」によるものなので、フィナステリドを開始してから1年以上効果がなければ、服薬を中止するべきであると考えます。
なお、もう一つのAGA治療薬のザガーロ(デュタステリド)もフィナステリドと薬理作用は同じなのですが、5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があります。
フィナステリドはⅡ型のみを阻害するのですが、ザガーロ(デュタステリド)はⅠ型とⅡ型の両方を阻害するので、発毛効果はフィナステリドより高いとされています。
しかし、効果が出ない理由はフィナステリドと同様です。
2.患者さん自身の問題から考えられる理由
- 毎日内服できていない:不定期な服用では効果は望めませんし、効果があっても中断すると再び抜けてしまいます。
- 開始後すぐに効果出ると思い、半年も続けずに中断する:初期脱毛がある場合もあり、最低でも半年は内服を続けて経過を見るべきです。
- ヘアケア、頭皮ケアをしていない
- 生活習慣の問題(偏食、睡眠不足、運動不足、長時間のPC作業、喫煙、ストレスなど)